水道用語一覧

逃弁
「逃弁（とうべん）」は、一般的には「逃げる弁」や「逃がす弁」とも呼ばれ、流体（通常は液体または気体）の流れを制御するためのバルブ（弁）の一種です。逃弁は、流体の圧力や流量を調整し、必要に応じて流体を逃がすことで、システム内の圧力や流量を制御します。以下は、逃弁の一般的な説明です：
●逃弁の基本構造
・逃弁は、通常、弁本体、動作部、操作ハンドルまたはアクチュエータ、および接続部品から構成されます。
・弁本体は、流体の通り道を制御する部分であり、開いたり閉じたりすることで流体の通過を調整します。
・動作部は、弁の開閉を制御する要素であり、操作ハンドルまたはアクチュエータによって制御されます。
・操作ハンドルまたはアクチュエータは、人力、電気、圧力、空気などの力を使って逃弁を操作します。
●逃弁の用途
・逃弁は、多くの産業やアプリケーションで使用されており、液体または気体の流れを制御するのに役立ちます。
・一般的な用途には、液体や気体の供給、排水、減圧、圧力調整、流量制御、安全弁、防爆弁、温度制御、液位制御などが含まれます。
●逃弁の種類
・逃弁にはさまざまな種類があります。一般的な逃弁の種類には、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブ、チェックバルブ、圧力逃弁、安全逃弁、圧力制御逃弁などがあります。
・各種逃弁は、特定のアプリケーションや条件に適した形状や機能を持っています。

逃弁は、工業プロセス、液体の輸送、建築、エネルギー発生、化学工業、冷暖房システム、水処理プラント、自動車など、さまざまな分野で広く使用されています。流体の制御と安全性を確保するために不可欠な要素のひとつです。
●水道配管の逃弁の設置について
水道配管における逃し弁（逃弁）の設置は、配管内の圧力を適切に管理し、設備や管路の破損を防ぐための重要な措置です。逃し弁は、主に配管内の圧力が設定された限界値を超えたときに自動的に作動し、余分な圧力を逃がすことでシステム全体の安全性を確保します。以下に逃し弁の設置に関する詳しい説明を行います。
１. 逃し弁の役割
逃し弁は、水道配管内の異常な高圧を検知し、これを適切に逃がす役割を担っています。高圧が発生する原因としては、ポンプの誤作動や急激な水流の変動、温度上昇による水の膨張などが挙げられます。逃し弁が作動することで、配管や接続部が破損するリスクを低減し、システムの安定運用が可能になります。
２. 設置場所の選定
逃し弁は、システム内で圧力が最も高くなりやすい場所や、圧力の急激な変動が予測される箇所に設置されます。以下のような場所が代表的な設置ポイントです。
・ポンプの出口： ポンプが過剰に圧力をかけた場合、その圧力を逃がすための場所として設置されます。
・ボイラーや給湯器の付近： 温度の上昇に伴う圧力の上昇を逃がすため、熱源の近くに設置されます。
・閉塞された配管末端： 末端で圧力が溜まりやすい場合、圧力を安全に逃がすための設置が行われます。
３. 逃し弁の種類
逃し弁にはいくつかの種類があり、設置場所や用途に応じて選定されます。
・バネ式逃し弁： 設定圧力を超えるとバネが動き、弁が開いて圧力を逃がします。シンプルな構造で広く使われています。
・パイロット式逃し弁： より高精度な圧力制御が可能で、特に大規模なシステムに適しています。
・サーモスタティック逃し弁： 温度によって作動し、温度上昇による圧力増加を逃がすために使用されます。
４. 設置における考慮事項
逃し弁の設置には、いくつかの重要な考慮事項があります。
・適切な圧力設定： 逃し弁が作動する圧力は、システムの設計圧力と安全係数を考慮して設定されます。設定が低すぎると不必要な作動が頻発し、高すぎると設備がダメージを受ける可能性があります。
・排水経路の確保： 逃し弁が作動した際に放出される水や蒸気は、安全に排水される必要があります。排水経路が確保されていないと、周囲の設備や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
・定期点検とメンテナンス： 逃し弁は、長期間使用されるうちに劣化することがあります。定期的な点検と必要に応じたメンテナンスを行い、確実に機能するように保つことが重要です。
５. 法的および規制上の要件
逃し弁の設置には、法令や規制が関わる場合があります。特に、建築基準法や水道法などの規制に従って設置を行う必要があり、設置基準や点検の頻度などが細かく定められていることがあります。これらの規制を遵守することは、法的なトラブルを回避し、システムの安全性を確保する上で不可欠です。
６. まとめ
水道配管における逃し弁の設置は、配管システム全体の安全性を保つための不可欠な手段です。適切な場所への設置、正しい圧力設定、安全な排水経路の確保、そして定期的なメンテナンスを行うことで、システムの安定運用と長寿命化が実現します。法的な規制を遵守しながら、設置と管理を行うことが重要です。